小説Git 2:黒い画面でタタタターン

緑色の文字だ流れる画面にタタタとコマンドを入力してリターンキーをターンと叩く映像はでハッカーを表現する映像作品はまだまだ後を絶ちません。現実のプログラマーやネットワークエンジニアが映画のように忙しなくコンピューターを操作することはほとんどないのですけどね……とはいえ、この表現のすべてがデタラメというわけではなく「黒い画面」がエンジニアの友であることは間違いのないところです。

小説Gitをご覧になっているコンピューターでは、私たちがマウスやタッチ操作で扱うアプリケーションよりもずっとたくさんのソフトウェアが動いています。

この記事を書いているときに起動していたプロセス数は596個

その多くは人の手の介在しないアプリケーション間通信か、「黒い画面」を通して操作するコマンドラインインターフェイス(CLI: Command Line Interface)でしか動かすことができません。

Linuxで生まれ、CLIを好むソフトウエアエンジニアたちがメンテナンスしているGitも例外ではありません。Gitの主要なインターフェイスは「黒い画面」でコマンドを入力するCLIです。

ファイルの、ある時点での状態を登録予約(ステージング)するには % git add というコマンドを用いますし、予約した状態を登録するには % git commit とタイプします。過去に登録した状態に復元するには % git checkout というコマンドを使います。複数の状態を合成するには % git merge、分岐を操作するには %git branch……

Gitのヘルプ。よく使うコマンドが表示されています。全てを覚える必要はありません。

嫌になりそうですね。わかります。

ですが、GitがCLIでしか操作できないのなら私が小説のためにGitを使うことはなかったし、小説Gitも始まらなかったことでしょう。幸いなことに、多くのアプリケーションがユーザーに代わってGitのコマンドを実行してくれます。

「裏庭の競技場」をVS Codeで編集している画面
登録予約した変更が「ステージされている変更」に、それ以外の変更点が「変更」に並んでいる
エディタ側では11、18、20行目が前回の登録(コミット)から変わっていることがわかる
変更点を登録(コミット)した状態。Git GraphというVS Code用の機能拡張は、変更や分岐、統合の履歴をグラフィカルに表示してくれる

小説Gitでは、Gitの操作のほとんどをVisual Studio Code(VS Code)と、VS Code用のプラグインで行う方法を解説します。私自身は「黒い画面でタタタターン」とやる方が簡単に思うことも多いのですが、できるだけVS Codeで操作する方法を優先して紹介していきます。プログラム開発などでGitに慣れている方から見ると、まだるっこしいところもあるかもしれません。

ただ、「黒い画面」を最小限にとどめようとまでは考えていません。コマンド入力をする方が間違いがない場合や、他に方法がない場合には、躊躇なくコマンドを入力する方法を紹介していきます。

Gitのクラウドサービス、GitHubの機能を用いて分岐を統合していくところ
VS Codeに搭載されているターミナルを使っている

前置きが長くなりました。それでは、次回から環境を作っていきましょう。

コンテンツ一覧

  1. 小説Git 1:はじめに
  2. 小説Git 2:黒い画面でタタタターン
  3. 小説Git 3:VS Codeのインストールと最低限の設定
  4. 小説Git 4:Gitのインストール
  5. 小説Git 5: VS CodeのGit拡張機能

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