pixivと日本SF作家クラブが送る小説コンテスト「日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト2025(以下、さなコン2025)」の、さなコンN部門の二次選考結果を通過した23の最終選考対象作品が公開されました。
「日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト2025(さなコン2025)」二次選考結果発表
New、Nextの頭文字を冠した「さなコンN部門」は10,000文字の規定と、日本SF作家クラブが提案した書き出しを使うコンテストで、日本SF作家クラブの会員が審査にあたっています。昨年は私も二次選考に参加して20作品ほどをレビューしましたが、審査だけでなく、作品そのものも大いに楽しませていただきました。今年は最終選考の審査員として、さなコンに参加します。
10,000文字の小説は原稿用紙にすると30〜40枚。文芸誌に掲載される「短編」は50枚で依頼されることが多く、世の中の「短編集」もその長さの作品が多いので短いと感じられるかもしれませんが、そんなことはありません。英語圏、特に短編でキャリアを積むアメリカではこの程度の長さの作品が「ショートストーリー」として愛される長さの物語です。私も英語圏で発表する短編を書くときは10,000文字を目安に書いています(中国向けの時は、15,000文字ぐらいにして、10,000文字の規定に合わせることが多いです。とにかく短くなっちゃいますから)。日本の文芸誌に載る50枚ぐらいの「短編」は、英訳すると「短めの中編(ノベレッタ)」になってしまうことが多いのですが、ノベレッタの枠だと、アイディア一発勝負というわけにもいかず、美学やウンチクで押し切ることもできません。これは個人的な感覚ですが、ノベレッタには成長してきた登場人物と人間の関係があり、成り立ちのある世界があり、始まりと終わりのある物語がないと弱いなあと思ってしまいます。逆にいうとショートストーリーは、アイディアだけでもなんとかなるし、美学で押し切ってくれてもいいし、魅力的なキャラクターをがっちり見せてくれるだけでも成り立ってしまう可能性のある、魅力的な長さだということでもあります。
そしてさなコンに応募されてくる作品は、ショートストーリーを読みたいという気持ちを満たしてくれます。つい先ほど最終選考に残る23作品を読み終えましたが、二次選考を通ってきた作品は、さすがにどれも読みどころがありますね。いくつかの作品には心を動かされることもありました。皆さんも、是非とも読んでみてください。気に入った作品がきっと見つかると思います。
- 『ラッフルズ図書館の炎上』/尾崎滋流(おざき・しぐる)さん
- 『ケヤキ通りの100年図書館』/山本倫木さん
- 『ぱらっぱらのぱさっぱさ』/津早原晶子さん
- 『フラットグリット』/中根 秀樹さん
- 『図書館字郎 達磨坂駅前店』/瀬川雨読さん
- 『書かれぬ僕らの物語り』/冬野みはるさん
- 『図書館の魔法』/志縞 円さん
- 『図書館のしっぽ』/下縁メガ音さん
- 『それは指切りに等しい』/折り鶴さん
- 『グリム兄弟と書棚の幽霊』/萬朶維基さん
- 『わたしたちのオアシス』/受動喫煙者さん
- 『ベターハーフ』/TYPEさん
- 『図書館姫』/阿下潮さん
- 『舟底の幽霊』/みやこ留芽さん
- 『火星の七不思議図書館』/森村直也さん
- 『噂ではない、うわさの話』/DMVさん
- 『null想紀に朝がくる』/葉月氷菓さん
- 『アストレアの天秤』/ふるやさん
- 『運命 × × × 図書館』/薄明 燈居さん
- 『すぐそばの遠い世界』/る@ルームのサンドバッグの中さん
- 『宇宙の知識のあるべきところ』/ちょろぎ・月本十色さん
- 『大図書館時代の曙』/kotakesiさん
- 『水晶谷のドンドラゴン』/アヴァさん
最終選考では、榎木洋子さん、琴柱遥さん、坂崎かおるさん、門田充宏さんたちは、自分の推しを紹介してくださることでしょう。皆さんと作品について話し合えるのが楽しみで仕方がありません。
これから読み返して評点をつけて、私の推しを決めて参ります。