VS Code用の小説執筆機能拡張、novel-writer 3.3.0を公開します。今回は機能が増えたのでマイナーバージョンアップになりました。追加した機能は文節のショートカット移動です。
小説を書いている時、文節を移動したいことは多々あります。例えば下のような書き換えです。
今日、私は書店に行った。
↓
私は今日、書店に行った。
↓
今日私は、書店に行った。
↓
今日書店に、私は行った。
この程度なら息を吸うように書き直せますが、下の文のようなものを書き直すのは、ちょっとだけ面倒です。特に小説の書き出しでは、こういう書き直しを何十回も行います。
朝もやの残るジャングルの小径で、降り積もる落ち葉に、拳ほどの大きさのくぼみが生まれた。くぼみの底には昨夜の雨が染みてくる。
↓
ジャングルの朝もやの残る小径で、拳ほどの大きさのくぼみが、降り積もる落ち葉に生まれた。昨夜の雨がくぼみの底には染みてくる。
この操作が、以下の動画のような操作で終わります。やっているのはカーソルを動かしてCommand+矢印を押すだけ。それで文節が前に後ろに動きます。選択範囲を作れば複数の文節をまとめて移動させることも可能です。
もちろんカットアンドペーストできますし、タイプしなおしたって大した手間ではありません。大切な小説の冒頭ぐらい、何十回でも書き直します――しかしVS Codeは私の勤勉さを打ち砕きました。
VS Codeには、行を上下に動かす機能があります。Optionキー+↓↑(WindowsやLinuxではCtrl+↓↑)という極めて直感的なキーボードショートカットで、選択している行が上下に動きます。「彼は言った」という段落の後にセリフを書くか、それとも前の段落に書くか、何度も何度もキーを叩くだけで試行錯誤できます。
この機能に慣れてきた私は、どうして文節を前後に動かせないのか、と不満を持つようになりました。直感的にすいっと動かせれば、抵抗なく何度も書き直せるんじゃないか。そうやって生まれたのが今回の文節移動です。
この機能をどれだけの人が求めているのかわかりません。ビジュアルエディターが生まれて半世紀、形態素解析が実用に供されるようになってから三十年ほど経っていますので似たような機能は何度か作られてきたと思いますが、見たことのない機能が目の前で動くとちょっとした感動があります。
少しだけ制限があります。文節を移動させると、品詞の種別変わってしまうことがあるので、文節を前後に動かしていると文節の区切り方が変わってしまうことがあります。下の文で「一つ」を後ろに動かしていくと、形容詞が連続する文節と認識されてしまい、一メートルとくっついてしまうのです。アンドゥすることで元に戻せますので、ご容赦ください。
くぼみの奥に一つ、一メートルほど後ろに一つ。
↓
くぼみの奥に、一つ一メートルほど後ろに一つ。
↓
くぼみの奥に、後ろに一つ一つ一メートルほど。
現在のnovel-writerは、文節を構成する品詞(単語)単位でハイライトを施していますが、文節に対するハイライトに切り替える予定があります。そうなれば文節がどのように扱われるか見ることができるので、違和感も少なくなるかと思います。
それでは、試してみてください。