macOS版with storyがそろそろ出せます

丸三ヶ月かかりましたが、macOS版のwith storyがようやくRC(Release Candidate:公開可能)に到達しました。現在はApp Storeの配信申請を行なっているところ。Appleのレビューが通れば即公開する予定です。

with storyの全てのペインを開いている状態

with storyは左右のサイドパネルに挟まれた2ペインアプリケーションです。構成は左から順に以下の通りです。

  • 左サイドパネル:プロジェクト
  • 左ペイン:アウトライン
  • 右ペイン:エディター
  • 右サイドパネル:コンテキスト

プロジェクトサイドパネルは、フォルダーで原稿をまとめたプロジェクトを表示します(単独ファイルも表示します)。withはプロジェクト単位で使うアプリケーションですし、iCloudで同期しただけでデスクトップに保存されないプロジェクトも扱うので、機能の多いプロジェクト閲覧機能が必要になりました。

アウトラインは、プロジェクトの構成を表示する部分です。フォルダーの構造をそのまま使って章立てや連載の区切りを作ったり、いくつかの原稿を並べてひとまとまりのシーンを構成したりすることが可能です。ファイルの順番と親子関係はドラッグ&ドロップで変更可能。連番をつけなくてもファイルは並びます。

宇宙党年代記のアウトライン
連番なしでファイルを並べていることがわかります
アウトラインの下部には、原稿以外のファイルとスナップショットの履歴が並びます

ファイルをそのままアウトラインとして使うアプリケーションはあまり多くありません。ファイルの並び順がFinderとアプリとで異なる不自然さがあり、また、ドラッグ&ドロップなどのユーザーの操作がディスクの読み書き速度を上回ることが多々あるからです。ファイルの並び順については仕方がないのですが、操作性に関しては、withはそれなりに工夫を凝らしています。ユーザーの操作を直接ファイルに伝えるのではなく、小説プロジェクト全体の抽象構文木(AST)で管理して、ユーザーの操作はメモリ内で処理し、後からファイルに落とし込んでいく方法をとっています。

作ってみると色々と面白いことがわかります。このような遅延実行は、ファイルが生で見えていてユーザーがいつでもアプリを終了できるmacOSよりも、ファイルが隠蔽されていてアプリケーションの終了メニューがないiOSの方が安定した形に作れるんですね。それはともかく――

withは、フォルダーの構造を使うアウトラインの他に、Markdownスタイルの見出し(行頭に#を書くあれです)アウトラインも扱うことができます。

アウトラインは文書のどこにいるのかを常に表示しますし、見出し以下のテキストの文量も表示します。そして、見出しをドラッグ&ドロップして順番を入れ替えることも可能です。

withのリリース用に書いている文書のアウトライン

フォルダーの構造を使うアウトラインと見出しのアウトラインは、衝突する機能です。二階層目のフォルダーを「章」にするプロジェクトの中で、原稿の中に大見出し、中見出し、小見出しが作れてしまいます。二つの構造があることで、withを使う人は混乱することでしょう。

「どっちを使えばいいの?」という問いがSNSに飛ぶのは覚悟しています。

しかし私は整合性をとるつもりはありません。

長編小説ならフォルダーで構造を作ります。中編や短編なら見出しだけで十分です。連作短編ならフォルダーの中に見出し構造が入るような形もありでしょう。詩や短歌、俳句は、私の想像できない方法で管理されることでしょう。

一つだけ約束できることがあります。withは、フォルダーと見出しの両方で構造を作れるアプリです。将来的には通し番号を作る見出しやフォルダー階層を設置する機能もつける予定ですが、その時にどちらかの機能を止めるつもりはありません。

次はエディターです。

withのエディターには三つのモードがあります。全テキストのタグを表示するテキスト編集モードと、編集している段落以外はプレビューが表示されるライブ編集モード、そしてキーボード入力のできないプレビューモードです。入力する段落はゴシック体、プレビューは明朝体になります。

ライブ編集モード。カーソルのある段落だけ、ルビのタグ(|傍《かたわら》)が見えている。

with 1.0.0のプレビューで表現できるのはルビ、圏点(﹅)、縦中横、地付き(右寄せ)、見出し、ゴシック、見出しです(字下げは早めに実装します)。withは執筆を主眼にしているため、組版にはそれほど拘っていません。禁則処理はシステムにお任せですし、ルビは肩つき。厳密な意味でのベタ組みでもありません。1.0.0には印刷機能もありません(いずれ搭載しますが、書籍レベルの組版になることはないでしょう)。

そして一番右が、コンテキストサイドパネルです。

役割は色々。検索置換パネルが表示されたり

資料を表示できたりします。

いずれはプロジェクト用のwikiをここで書けるといいなあ、なんて考えていたので「コンテキスト」という名前にしてあります。現在のwihtはiOSの共有パネルで写真の要素を使う時にVisionフレームワークを使っている程度でLLM以降のAIを使ってはいないのですが、Appleのプライベートクラウドをサポートする予定はあるのですが、その出力は資料を通してコンテキストパネルに表示されることでしょう。今は、ただファイルをちょっと表示できるだけ。それでも検索はちょっと面白いですよ。

macOS版のwith storyは基本無料。広告もサブスクリプションもありません。Word書き出しテンプレートの拡張や、締切管理機能だけアプリ内購入でアンロックできるようになっています。Appleのレビューが終わったらiOS版の完成を待たずに公開する予定です。

公開をお楽しみに!

48時間過ぎてるんだけどなあ……

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