SF作家ソンに参加します

9月13日から15日にかけての連休、京都で開催されるライターズリトリート「SF作家ソン」に参加してきます。

ライターズリトリートは、複数の作家が一ヶ所に集まって集中的に執筆や、執筆にまつわることを考える合宿です。SF作家ソンは日本SF作家クラブと韓国SF作家連帯、そしてVG+の協力よって実現しましたが、一回目の試みということもあって参加できる作家は声をかけられる方だけに限らせていただいています。試行一回目ではあるのですが、韓国からはゲスト作家として『僕の狂ったフェミ彼女』のミン・ジヒョンさんをはじめ、ソ・ユンビンさん、ヘ・ドヨンさんら実力派の作家を招聘しています。私はメンター作家としてオフィスアワーを開き、参加する作家たちの相談に乗ることになります。

ライターズリトリートは主流文芸の国際交流では頻繁に行われています。夏、学生寮の入れ替えの期間を利用して国内外の作家を集めてリトリートを行う形式が多いようですが、北京大学などにはリトリート専用の宿舎を設けている大学の文学部もあると聞きます。投資が活発な中国SFではライターズリトリートとSF文学賞の贈賞式を行うSF大会を一気に行うような催しも行われていて、国外の作家を招いて中国の若手作家に刺激を与えるような合宿もあるとのこと。成都に来るロデリック・レーウェンハートは、つい最近まで重慶の魚釣台SF研究所で三週間のリトリートをしていたと話してくれました。

私も一度、国外のリトリートに参加したことがあります。ベルグレン財団が2022年に行った「Vaster than Empire」プロジェクトです。リード作家は陳楸帆で、メンターがケン・リュウ。招待されたSF作家は私と郝景芳という(私を除くと)超豪華メンバーでした。ロサンゼルス郊外の「コミューン」という宿泊施設に、アメリカ、ドイツ、イギリス、バルバドス諸島、カナダから招かれた社会研究者や活動家、美術家、カメラマン、物理学者らと4泊5日のリトリートを行って、プロジェクトの成果物となる小説を書きはじめました。朝食前はカカオパーティーやヨガ、ピラティスなどのアクティビティを行ってから、ラウンジで午前の講演を聞き、意見を戦わせてから執筆に戻る。午後はメンター作家のオフィスアワーに参加して執筆する作品の骨子を固めていきました。夕食前には散歩です。右を見ても左を見ても思索と執筆に関係するものばかりという空間はやはり特別で、想像力や責任を強く感じさせる5日間でした。半数が何らかのベジタリアンでビーガンの参加者もいたので食事はサラダと穀物が中心でしたが、制約の中で変化をつけた食事も楽しみました。もっとも最終日には肉っけの多いパスタが出て、ニューヨーカーのライターとハイタッチしたものですが。

この時書きはじめた作品「三光年の孤独」は、とある大学のジャーナルに掲載される予定でしたが、トランプ政権で予算が怪しくなって宙に浮いてしまいましたが、初めて英語で書き通した小説なので、どこかで発表できないかなと考えているところです。このリトリートは人生の宝物になりました。

SF作家ソンが参加者の皆さんにとって宝物になるよう、そして新たな物語が生まれることを希望して、明日は京都に向かいます(まさか指定席が全て売り切れているとは……)。

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