重慶の釣魚城SF学院が主催する第二回目の百万釣魚城SF大賞の海外短編に、Toshiya Kameiさんに翻訳していただいて、Multispecies Citiesに寄稿したBecoming Martiansが選ばれました。
Becoming Martiansは、テラフォーミングに失敗した火星に住む父が、地球に留学した子供に送るメッセージの形式をとった短編です。公転の都合で12分の通信遅延がある火星から、父は子供に、火星の青い空を壊してしまったことを謝ります。この12分間の一人語りだけで構成した短編小説です。取り返しのつかない失敗をした世代は、どうやって次の世代に向き合えるのか、そんなことを考えながら書きました。
Becoming Martiansは、2020年の一月、リヨンに向かう12時間のフライトの間に一気に書き上げました。中国では脅威的な感染力を持つ熱病の存在が囁かれていましたが、まだそのウイルスが私たちの生活に落とす影までは予想できていなかった頃です。リヨンで出会ったドゥニ・タランディエールや夏笳、そして新たに知遇を得たフランス人作家のオリビエ・パキやダブリン以来の友人であるロデリック・レーウェンハートたちに作品の骨子を伝えて感想をもらいながらブラッシュアップして、Toshiya Kameiさんと英訳についていろいろと話し合いました。COVID-19のために出版は遅れましたが、美しい表紙が公開され、家に閉じこもっている私の手元に本が届けられた時には言いようのない満足感があったことを覚えています。
第一回百万釣魚城SF大賞の様子は、次のリンクからご覧ください。機械翻訳でも十分内容はわかると思います。中国の「SF大賞」は、シンポジウムやSF大会そのものと一体化していることが多いのですが、この百万釣魚城SF大賞も例に漏れず、作家の宝樹や趙鋒、翻訳家の丁丁虫、中国で初めてSFで学位を出す研究室を作った呉岩先生らが登壇するパネルディスカッション(中国ではサミット:高峰と呼ばれることが多いですね)が行われていたようです。盛大ですね。
中国のSF大賞の特徴は、多くの部門賞です。長編・中編・短編・新人賞に加え、外国語から中国語への翻訳家、中国語から外国語への翻訳家(古市雅子や大森望さん、ケン・リュウがノミネートされていますね)、出版社、編集者、図録に漫画、教師、教科書、研究など、多くの部門賞が用意されています。どのSF大賞も次代のための教育部門には力を入れていますね。
ノミネートは立原透耶さんがXでお知らせしてくださいました。いつも中国のニュースを届けてくださり、ありがとうございます。