前バベル発売開始

二週間ほどの審査期間を経て、ようやく今日、4月9日から前バベル(英語名Pre-Babel Lens)のApp Store販売が始まりました。

App Storeから購入できます。iOS 26以上をインストールしたiPhoneとiPad、そして同じバージョンのmacOSをインストールしたMacで動作します。

バージョンは0.7.0。MacでApple Intelligence用アプリの検討を始めて、少しずつバージョンを上げた結果です。iOS版を審査に出したのはから1.0.0じゃないのは、まだLensが付いていないからです。Apple Intelligenceを調べ始めたのは、この記事のちょっと前だからちょうど二週間前。この頃は、Apple Intelligenceがあればローカル翻訳できるかも! と思っていました。

しかし道のりは遠かった。Apple Intelligenceでも翻訳アプリをやってやれないことはないんですが、日常使いのアプリとしては遅い。そして、通信できない環境で使うには確実性が足りない。ちょっと厳しい内容だと、バックアップの機械学習モデル、Apple Translation Framework(翻訳.appで使っているものです)に頼ることになる。何より痛いのは、私のiPhone SE(第三世代)ではApple Intelligenceが動かないという致命的な環境依存を忘れて突っ走ってしまったことです。

致命的だったのが、先週0.6.0をAppleに提出して、レビュワーとやりとりした時です。前バベルが始めてのApple Intelligenceアプリだった場合、モデルをインストールする間、合理的に待たせる方法がない。そしてバックアップシステムのTranslation Frameworkの初回起動と重なると、ユーザーが何を待たされているのかわからなくなってしまうと指摘されたのです。

そんなわけで、Apple Intelligenceを中心にしたアプリからは撤退。Apple Translation Frameworkベースの翻訳アプリにすることにしました。その辺りの経緯はここに書いてあります。

上のブログにも書きましたが、切り替えてよかったなと思います。Apple IntelligenceのようなLLMの得意分野は確実性ではなく創造性です。特に機能性能が限定されるローカルLLM――端末内AIを使うアプリは、その得意分野に集中したほうがずっといいわけです。決定論的なプログラムでは難しい文書の種別や熱意を見極めるとか、作文するとか、校正するとか、無味乾燥な翻訳の補足説明をしてもらうとか、お返事を書いてもらうとか。

そんなわけで、今回は実験的な翻訳機能に後退したApple Intelligenceですが、今後は機械翻訳の力強いサポート役として働いてもらう予定です。もっとも、最速最高のiPhoneならサクサク動いてしまうのかもしれませんけどね。そうだったらその時また考えます。

というわけで、初めてのアプリ、前バベル登場です。今どき珍しい買い切り150円ですのでお気軽にお試しください。移動中に、旅行先で、ちょっと厳しい内容の翻訳をしたいときに、ローカル翻訳アプリがあると安心です。小説なんかを書いていたりすると、人には言えないような事物の外国語での表現を探すこともありますが、あなたの生殺与奪を握るGoogleのサーバーに翻訳に頼るのは怖くないですか? 会社に勤めていれば出張は断れません。検閲のある国で政治的に微妙なメッセージを誰かに託したくなることもあれば、ある朝クーデターが始まって、通信できないホテルで仲間を作りたくなることもあるでしょう。そんな時、あなたのiPhoneに働いてもらうために、前バベルを入れておくのも悪くないかもしれません。

Hello, World!

コメントを残す