
4月25日発売のS-Fマガジン6月号から、新連載〈宇宙島年代記〉が始まります。6月号には第一話「幽霊船」の第一章「転校生」が掲載されています。扉のイラストレーターはなんと加藤直之さん! 憧れていた(そして前職でも少しだけご一緒したことがある)加藤さんに扉を飾っていただきました。永久保存版だこれ。
挿絵の一部は私も作成しています。

物語は2300年台、月軌道のラグランジュ点に人が住んでいる時代です。よく知っている感じだと、ガンダム的な時代を想像していただければわかりやすいかもしれません。作品にモビルスーツは出ませんし、帝国を名乗る組織も出てきません。今のところは目立った対立もありません。この宇宙には億人単位が暮らすオニール型コロニーもあれば、宇宙エレベーターもあり、資源小惑星に穴を掘って住んでいる村のようなものもあり、与圧されていない船で「暮らして」いる人もいます。物語の舞台は、オニール型コロニーを作るために作られた作業ステーション。そこを買い取って5,000人ほどが住んでいる小さな「宇宙島」です。
人口5,000人というのは、故郷の港町から決めました。私が知っている、なんとか回っている地方です。経済の大きな部分が公共事業に支えられていて、子供の頃から全員が顔見知りで、市場を牛耳る有力者がいて、そんな中でも公正さを求める選挙が行われる。そんな島から物語を始めてみようかと思いました。
〈コクナン島〉の少年少女たちは二十歳前に訪れる「島を離れる日」のための準備に余念がありません。行き先に応じて電気代謝や真空暴露耐性、強化骨格などを入れ、学問や技術の習得に励んでその日に備えています。そんな中、地球からやってきた転校生、宇登神瑞乃は、転校三日目にして航宙実習につっこまれますが、同級生には何やら怪しい企みがあるようで――。
「幽霊船」は少年少女の物語ですが〈宇宙島年代記〉はまだ続きます。ここで登場する人たちが島を離れ、地球や月、あるいは航宙船で暮らす姿も描く予定です。できれば五年ぐらいかけて終わらせたいところ。書き溜めた資料や設定がちょっと洒落にならない量になってきたのでAIの助けを借りてグラフを作ったりしています。

どうぞごゆっくりお付き合いください。