成都ワールドコン2023で二つ目に登壇したパネルディスカッションは、18日の午後に天王星ホールで行われた日本語の「パネル: 私たちはいかにしてプロのSF作家になったか」でした。
パネリストはデビュー順敬称略で野尻抱介、長谷敏司、高山羽根子、私(藤井太洋)そして八島游舷。司会は日中翻訳家の田田でした。
日本では多くの作家が出版社の新人賞の出版権を獲得してデビューしていますが、今回のパネリストはそのルートを通っていない作家が多く、面白い話を聞くことができました。
野尻抱介は勤務先で開発していたゲームのノベライゼーションでデビューしています。一作目から野尻氏は職業作家だったというわけですが、それからSF小説を持ち込んだ経緯を紹介していました。
長谷敏司は第6回スニーカー大賞で金賞を受賞してライトノベル作家になりましたが、デビューして数年後に早川書房から刊行した『あなたのための物語』が日本SF大賞の最終候補作になっています。
高山羽根子は「うどん キツネつきの」で第1回創元SF短編賞で佳作を受賞。単行本の約束されない受章から、東京創元社と大森望のアンソロジーで短編を発表し、同名の短編集を刊行しています。
私は電子書籍出版。友人に読んでもらうために行った出版だったので、賞に応募することは全く考えていませんでした。
八島游舷は大森望のゲンロンSF創作講座から、創元SF短編賞と日経星新一賞を受賞してのデビュー。受賞デビューではありますが、ゲンロンSF創作講座が登竜門になりつつあることを示す好例となりました。
同時通訳される私たちの声を真剣に聞いている参加者の姿がとても印象的でした。質疑応答も実のあるものになりました。素晴らしいパネルになったと思います。田田に感謝いたします。







