2021年の春から、マイクロソフト社のプログラム開発用エディター、Visual Studio Codeで執筆のほとんどを行うようになりました。
高速なユニコードエディターに複数ファイルを閲覧できるエクスプローラー、正規表現を用いた検索置換、このブログの「小説Git」でも紹介したGitとの連携機能、統合されたターミナルに魅力的なエクステンションの数々は、これで小説を書こうと思うのに充分な動機になりました。
しかし欠陥がないわけではありません。
行が折り返す部分での日本語入力の表示の崩れ方は見苦しいし、あらゆる設定がプログラミング用なので、標準の状態ではとても日本語の執筆に向いているとは言えません。何より致命的なことに、VS Codeは日本語の単語分割を理解してくれないのです。
Optionキーを押しながら右カーソルキーを押すと、VS Codeのカーソルは次の単語の先頭ではなく行末に移動してしまいます。
わ|たしは今日、旅に出ます。 「わ」の後ろにカーソルがある時に ↓ option + → キーで わたしは今日、旅に出ます。| 行末に移動してしまう
本当は下のように動いて欲しいんですよね。選択なら右のような感じ。削除も単語単位でやりたいわけです。
わたし|は今日、旅に出ます。→ わたしは今日、旅に出ます。⇧→ わたしは|今日、旅に出ます。→ わたしは今日、旅に出ます。⇧→ わたしは今日|、旅に出ます。→ わたしは今日、旅に出ます。⇧→ わたしは今日、|旅に出ます。→ わたしは今日、旅に出ます。⇧→ わたしは今日、旅|に出ます。→ わたしは今日、旅に出ます。⇧→ わたしは今日、旅に|出ます。→ わたしは今日、旅に出ます。⇧→ わたしは今日、旅に出|ます。 わたしは今日、旅に出ます。
ないのなら作ってしまえ、ということで作ってしまえるのがVS Code用のいいところです。

紹介ページの先頭にも書いてありますが、独力で書いた機能拡張ではありません。VS Codeとのインターフェイスは、Suguru Yamamoto氏のJapanese Word Handler(zlib License)のコードを丸ごと使っています。日本語の単語分割はTaku Kudo氏のTinySegmenter 0.1(修正BSDライセンス)を組み込むことで、実用的な速度で動作するようになりました。
たんごカーソルはWebブラウザ版のVS Code、codespacesでも動作しますので、github.devやvscode.devからオンライン編集を行う時にもお使いいただけます。
小説の執筆だけでなく、ドキュメント執筆にも有用な機能拡張になりました。どうぞご自由にお使いください。