私は、アルファベットの筆記体と草書風の縦書きの二種類のサインを使っています。デビュー当初はアルファベットのサインしか使っていなかったのですが、『Hello, World!』の見返しに横長のスペースがなかったので、縦書きのサインも必要だよなと思ってデザインした次第。漢字のサインはアルファベットを使う言語圏で喜ばれるのでちょうど良かったわけなのだけど、最近は横書きのスペースがある時でも、縦のサインを使うことが増えてきました。

どちらも「筆記体」なのですが、縦書きの方は悩まされました。藤の草かんむりからして、左手で書きやすい形が見つからない。中国のサイトも検索して、データベースをひっくり返したりして、部首ごとに書きやすそうな方法を探して、組み合わせたのが今使っている「藤」の字です。

「井」もちょっとだけ書き順を崩して一筆で書いています。入筆が右上から、というあたりが左利き。縦の棒は「井」と「洋」で共用しています。同じ考え方で「太」も一筆で書いています。こちらは「L」の筆記体に近い形になっています。

この一年は、新刊が文庫だけだったということもあり、書籍にサインをすることほとんどなく、最後に読者の前で本にサインを書いたのは、二月の長谷川愛さんとのイベントでした。オンラインのイベントにはいくつも参加しているのですが、サインテーブルは置けませんからね。